夏だ。
日頃いやなことのすべてが、輪をかけていやになる夏。
強烈な季節のにおいや景色の色だけが、昔からずっと変わらない夏。
小学生の夏休み、①②のどちらかについて書いてこいという宿題が出たことがあった。
①1億円あったら何をするか
②夏休みの一番の思い出
確か低学年のときに出た宿題だったと思うんだけど、幼い私は、
「夏休みの一番の思い出は○○です。1億円あったら何をするかは思いつきませんでした。」
みたいなことを律儀に書いていたと思う。
（しかも一番の思い出といっても、どこかに旅行に行ったとか海で泳いだとかじゃなくて、大したことない普段の生活の中の一部分を書いたように思う。）
1億円で何をするか。
今の私も幼い私と同様にアイデアが乏しいようで、”何をするか”については何も出てこない。
まず会社を辞めるとか、配当金額のいい株を買って働かなくてもいいようにするとか、”何をしないか”についてのアイデアしか出てこない。
他の人だったら、親のために家を買ってあげるとか、南の島に長期滞在するとか、ディズニーランドを貸し切りにして友達と盛大に遊ぶとか、なにかしら夢を叶えるための、つまり”積極的な”金の使い方をするのかもしれない。
かたや私はなんとも”消極的な”金の使い方しか思いつかない。
確かに親に家を買ってあげたいとは思うけど、どうせあの人たちはすぐに汚して散らかすだろうし、よっぽどのことが無ければメンテなんかしないだろうし、高額な固定資産税はどうすんだって話だし、土地を決めるのも周辺状況やら水はけやらを気にしないといけないのに加え、家を建てるとなるともっと問題が増える。
から、総合的に考えて家は買わない。
南の島での長期滞在は夢だけど、一人だとどうせすぐ退屈になるだろうし、友達を誘うにしても長期休暇をとってもらうわけにもいかないだろうし、彼氏はいないし、家族は馬が合わないからそもそも選択肢としてナシ。
から、南の島もナシ。
ディズニーランドの貸し切りをするにしても誘える友人は少人数だろうから、その人数のために園をフル稼働させるための膨大な電気を使うのかとか、スタッフにVIP扱いされるのかとか、なんか申し訳なさが勝ってしまって楽しめなさそう。
しかもやっぱり遊園地って、たくさんの人が頭にキャラクターのカチューシャつけて笑顔で歩いていたり、ジェットコースターが急降下したときにキャーキャー悲鳴が聞こえたり、いろんなゾーンでポップコーンのいいにおいがしたり、そういう雰囲気がわりと大事だと思う。
から、ディズニー貸し切りも別に興味ない。
…といった具合に、ネガティブも行き過ぎるとこんな思考になる。
日常とかけ離れすぎた発想だから抵抗あるんだろうか。
もっと日常的に豊かになれることに金を使えばいいんだろうか。
となると、やっぱりどうしても”仕事を辞める”とか”働かなくても食っていける仕組みを作る”とかになっちゃうな。
「起きたくないのに起きて、したくない化粧をして、合わない人間たちの中で自分を偽って、自転車操業みたいな生活資金を稼ぐため、何の役に立っているのかわからないような仕事を朝から晩までする」ことから逃げ出す夢を日常的にみているから
。
日常を豊かにしようと思うと、どうしても金の使い方が”いやなことの回避”のためになってしまう…。
あああああああああああ無常。無情。無上。
サマージャンボ買おうかどうか悩む。
