ネガティブ女は頑張らない

ネガティブで孤独なOLは頑張って頑張らずに生きたい

20代。介護を考える。




●くそばばあ

ある日、おばあちゃんに「私と違ってあんたの手は仕事なんてしたことないような生っ白い手してるな~」と言われた。

いつもは「あーまたボケ老人がなんかほざいてるわ」って思って適当に「そだねー」とか言って流してるので、今回もそのようにしておいた。



けど、今回はなんだかものすごく引っかかった。



いやいや普通に仕事してたし。
鬱間近まで頑張ったし。
短いけど一人暮らしだってしてたし。
料理だって掃除だって洗濯だってしてたし。
半世紀前と違って畑仕事よりパソコン仕事が多くなったから手がキレイなだけなんだし。
最近は特に日焼けにも気を使ってるし。


自分が仕事づくめの生涯を送ってきたことに対して「なんであんなに苦労してたんやろ。アホみたいや」とか言ってるくせに、それが誇りだといわんばかりに昔の苦労話を自慢げに語る。

そんな祖母の姿を見て、昔からこんな人だったっけとか、歳をとって日常に変化がなくなったせいで&認知症のせいで、特に昔の記憶に残る印象的なことしか話題がないんだろうかとか。私が一人暮らししながら仕事してたことさえ忘れてしまったんだろうかとか。


そういう個人的な記憶や偏見を毎日毎日思い出したようにぶつけられるけど、言い返したところでお互い得なことはない。から流してるけど。

やり場のない苛立ちや虚しさを吐き出すところが私には見当たらないから、まぁここに書くことになるわけだ。



私の父親(つまりおばあちゃんの息子)は、おばあちゃんが上記のようにほざいてくることに対して、いちいち真に受けて腹を立てておばあちゃんと衝突してる。

適当に流せばいいのにっていつも思うけど、今回ばかりは私もちょっとイラッとしたから、あんなのが毎日あったらそりゃ声を荒げたくなる気持ちもわかる。


ボケを責めるのは認知症患者にとって良くないらしいし、責めてる本人も血圧上がって不健康だし、言い合う声で目を覚ます第三者でいるのも嫌だから、さっさと止めさせたい。
私なんかがテコ入れしようとしたところで何にもならないかもしれないし、むしろ私がダメージを被ることになるかもしれないから気が進まないけど…。




ほんとに、死は救済だと思うよ。お互いに。







●介護と身体死と精神死

老々介護とか施設の職員による殺害や暴行のニュースがたまにあるけどさ。
気持ちがわかる気がする。

うちのおばあちゃんはまだ軽度なほうだし、身体的な障害も特に無いからまだマシかもしれないけど、
(むしろ悪化して365日施設にいてくれたほうがいい?)
もっと重度な人で、暴れたり、糞尿撒き散らしたり、上から下まで世話しないといけない場合なんか、本当に嫌になるんだろうな。


いつも思うけど介護関係の方には頭が上がらない。
と同時に、そういう仕事にはもっと報酬が支払われるべきだと思う。
方法は違えど医者と同様に人の命を救ってることに変わりないのになんで薄給なんだろう。保育士も同じだ。
と同時に、どう生きてきたら介護みたいな仕事をやる気になるんだろうか。この人達もある意味では、クレハと同様に異星人だなぁ。ありがとうございます。


外国のゴミ収集業者はその待遇の低さからストライキを起こし、ゴミだらけになって異臭を放つ街を見た世間が考えを改めたということがあったそうな。
日本も見習えばいいと思った。
ストライキを予告しておいて、「ウチら本気出すから?いいの?ぜってー後悔すんぜ?」っていう強気な姿勢を見せればいいのに。

それが起きてないのは、優しい人ばかりだから?バカな人ばかりだから?明日の自分の給料のためだから?仕事に使命感を持っているから?お年寄りが好きだから?子供が好きだから?世間が怖いから?

わからない。
いざ自分がやる立場にならないと恐怖はわからないんだろうな。




まぁそんなことは置いといて。




介護の問題は、老人の世話だけではない。

誰が介護するか。
介護施設に空きはあるのか。
職場や家族に理解があるのか。
介護者のメンタルケアはどうするのか。
遠方在住のくせに介護に口出しする親類はどう対応するのか。
遺言書は。
遺産相続は。
身内の争いは。
死後の諸手続きは。
税金は。
自分自身の将来は。

どえらい重圧だ。ボケたほうが幸せかもしれない。



本当の本当の本当に、遺言状とか遺言ノートは書けるうちに書いておいたほうがいい。年齢関係なく。

うちのおばあちゃんは「そんなもんいらん。私はまだ死なん。それとも死んでほしいんか?」とか言って、断固として自分の老いを認めようとしない。

「うん、じゃあ死んで」って言いたくなるほど意固地な年寄りは面倒なので、早めに重要書類を見つけておいたり、施設に目星をつけておいたほうがいい。
あと自分の将来の施設入所費用を死ぬ気で貯めてほしい。
いつでも死ねるように備えておいてほしい。



軽度な家族にさえこう思うんだから、もう、なんかね。



いっそのこと、完全にボケて何もわからなくなるか、体がまったく動かなくなるか、そういう方向に振り切れてほしい。といつも思う。

笑顔で祖母に対応する母親と、腹を立てながらも産みの母を思う父親と、さっさと病死した祖父と、横やりを入れてくる無責任で身勝手な金持ちの親類と、親身なようでドライなケアマネと、世間と、私で、どうすればいいのか。





まずは、無駄に介護知識があって上から目線の遠方の親類をなんとか撃退できるよう、介護とトークスキルを高める勉強をする。
一流大学卒で超優秀な人だから、所詮私くらいの脆弱な脳みそを使ったところで完膚なきまでにぶちのめされるのは目に見えてるけれど。

すでにやられた母と、核心を突けない父と、親類の肩を持つおばあちゃんしかいないのだから、私しかやれる人間はいないじゃんね。
(このとき逃げ出しておけば良かったと将来に思う気がビシビシするけど)



低収入の低学歴の低能はマジで泥を啜って生きていくしかないね。
でも、成功した人も同じように泥を啜って這い上がってきたのだろうから、ただ自分に努力の才能が無かっただけだと思い知るよね。どうせなら10年早く知りたかったかな。

みんな死ねばいい。

冷たいとか無責任とか人命云々とか無視して、自分を大切にして生きたいね。

そうした結果が今のおばあちゃんなのだとしたら、皮肉だなぁ。





とか考える20代。
たぶん食べ頃。