ネガティブ女は頑張らない

ネガティブで孤独なOLは頑張って頑張らずに生きたい

小説より奇でもないなり






自分の思いどおりになるものが一つ欲しい。

人でも、時間でも、動物でも、仕事でも、人生でも、家でも、飛行機でも、なんでもいい。

今は数%~数十%しか思いどおりにできてないものを100%にしても構わない。
何かに自信とか確信が欲しい。




なんで人生は一回しかないのに、もっと楽に、そして望みどおりに過ごさせてくれないんだろうって思う。


一日の半分近くを費やす仕事、自転車操業の家計簿、若さと純真さを通り過ぎたアイドルや自分、避けなきゃ泣きを見る紫外線、無料だけどひどい汚れが染み付いた図書館の本、癖と傷みがとれない髪、耳障りな広告が流れる無料プランの音楽配信サービス、私ん家に居候してる目には見えにくい虫の諸君、イイ男の指輪、想像の半分しかない胸、想像の倍はある尻、うるさいし女豹だけど仕事ができて顧客から信頼されてる同僚…。





同じ会社の二つ下の同僚は、40歳の彼氏と同棲してるらしい。
生活費は完全折半らしいし喫煙者だし結婚もせずにアプリで若い子ひっかけてるキモい甲斐性なしのおっさんとしか思えないけど、結婚や子育てもその相手とするつもりみたい。

おっさんだし喫煙者なのに、そんなのと子供なんて…。
いますぐ子供できたとしても二十歳になったら親は還暦過ぎだし、子供産まれたからって禁煙なんかできるとも思えない…。

そんなリスクかもしれないことを平気でやってのけようとする同僚は頭悪い?
それともそんなこと気にしてる私が変?
もし私が同僚の立場なら「彼がせめて喫煙者じゃなければよかった。せめて35歳ならよかった。」って思ってた?
物事はすべて自分の考え方で決まる?
思いどおりにならないことでも愛せる?
同僚の子は、自信や確信がある?

わからない…。







理想と現実の差に苦しめられる私とは似てるのか正反対なのか、偶然そんな感じの主人公が出てくる小説を読んでる。

安心と信頼の荻原浩先生の「ハードボイルド・エッグ」。
図書館で見つけて「あ、大先生やん」って軽いノリで借りたら、まぁ序盤ですでに面白い。
けっこう初期の作品らしいけど、読みやすい文体や愛嬌のある登場人物たちの特徴なんかは、昔から今まで変わってないっぽい。

やられキャラでちょっと中二病の移り気な主人公がときたま見せてくる凄惨な過去の描写に触れるたびに、面白くてニヤニヤしてた口元が鏡写しのようにへの字になる感覚がどうしようもなく悲しくて愛しくて、ページを読む手が止まらない。

いま部屋にはフローリングに直置きしてるクッションしかないから、長く読書してると体がすぐに痛くなる。
本を読む環境を改善するためにいい椅子を買いたくなっちゃうけど、ちょっとスペースがないので迷う。
となりに座った外国人が汗くせぇなぁおい。




やっぱり本を読むのはいい。
余計なことを考えなくて済むし、私と作者といま読んでる文章に出てくる登場人物の思惑と感想しかないから、有象無象の他人を気にしなくて済む。

読書の時間を満足に確保できないのは不満だけど、読んで楽しむ気持ちは思いどおりだ。



これでいいか、今は…。